2012年2月25日土曜日

●東京中央電話局

山田守・内藤多仲設計:安藤組施工:東京丸の内:大正11年~14年(1922-25)逓信省は新建築を最も積極的に推進した官庁であった。この建物の倣物線アーチを並べた側面は、長く国電山手線の車窓から親しまれた。習作では自由で多様な創意にあふれていた分離派も、実作品では現実の強い束縛を感じないわけにはいかなかった。「国際様式」への接近は時間の問題であった。(『東京横浜復興建築図譜』から)

●豊多摩監獄

横浜勉・後藤慶二・久田喜一設計:東京野方:明治43~大正4年(1910-15)大正初年の最もすぐれた建築思想家後藤慶二の代表作。セセッション、オランダ新建築の影響のなかから、建築表現の自由と自主性を獲得しようと努力し、その結果、表現主義を予見する作品となった。中央が事務所、左右は分房監。刑務所という冷たい環境に、中央の事務所の建物がヒューマンな暖かさと思いやりを与えていることに注意しよう。(『建築雑誌』No.342から)