2013年12月21日土曜日

●旧エンバーソン邸

 

ロバート・エンバーソンはカナダからキリスト教伝道のために日本に派遣された人で、この住宅は1904年に静岡市葵区西草深に建てられた彼の自宅です。その後、エンバーソンが帰国した後も宣教師や牧師の住居としての役割を果たすことになりました。建築から80年を経過したころ、老朽化を理由に解体の話が持ち上がりましたが、建物そのものが市へ寄贈され現在の場所(静岡市駿河区池田2864-52)に移築され、歴史的建造物として保存されることになりました。明治時代の洋館によく見られる下見板張りが良い雰囲気を醸し出していると同時に、写真ではわかりにくいですが屋根は瓦で、これも「和洋折衷」の一つの形だと言えるでしょう。
 現存する場所は、日本平動物園のすぐ近くにあるのですが、看板がないのでややわかりにくいかもしれません。日本平動物園の人に聞けばすぐ教えてもらえると思います。都会にある古い建造物は、老朽化を理由にすぐに解体とか、高層ビルを作って一部だけ張りぼてのよう残すという中途半端に保存されがちですが、このように移築することで建物の完全な保存が可能だというアイデアはもっと注目されてよいと思います。欲を言えば、せっかく残した建物ですから、うまく宣伝して観光資源として活用できれば言うことありません。
 

2013年10月12日土曜日

●津金学校

山梨県北杜市にあります。中央高速須玉・長坂インターから車でおよそ20分のところにあります。設計は小宮山弥太郎。1875年に落成。いわゆる「擬洋風建築」の学校ですが、山梨県のそれは当時の山梨県知事、藤村紫朗の名前にちなみとくに「藤村式校舎」と呼ばれています。山梨県には藤村式校舎が他に4校現存します。玄関(車寄せ)の曲線的な軒はまるで寺社建築のようであり、また中央の塔はチャペルを模したもので、鐘ではなく和太鼓を吊るしているところが日本的で面白いと思います。建築とは関係ありませんが、古いオルガン(山葉製)が数多く展示されています。

2013年5月31日金曜日

●JR大磯駅駅舎

JR大磯駅駅舎です。三角の屋根が洒落ていて、珍しいと思います。多くの駅舎がビル化して、個性がなくなっている昨今、こういう駅舎はホッとさせるものがあります。かなり古い建物らしいのですが、ちょっと手元に資料がないので、申し訳ありませんが、細かいデータなどはわかりません。

2013年2月1日金曜日

●丸の内ビルディング

三菱地所部・フラー社設計:フラー社施工:大正9年~12年。いわゆる「丸ビル」です。アメリカ式のスピード施工による建築で、あまり耐震力が強くなったビルです。大正11年の地震で損傷。翌年の、関東大震災では大損傷を受けることになります。被害の調査から、部材が細いこと、鉄筋の数が少なかったことがわかっています。アメリカ流の合理主義は、コスト削減を強いるために、重要なところが抜け落ちてしまうのかもしれません。対照的に、前に紹介した、日本興業銀行は、丸ビルと同時代に建てられたものだが、震災に耐えることができました。なお、丸ビルは「丸ビルのマスで計って何杯」などものさしの役割も果たしていました。